夜中にたくさん嘔吐されると、とても心配になりますよね。

お子さんが嘔吐する場合の主な原因は感染性胃腸炎です。なかでもウイルス性がほとんどを占めて、細菌性胃腸炎は少ないです。

 

ウイルス性胃腸炎は、集団生活や家庭内で感染して、発症します。

ウイルスによってはひどく嘔吐の症状を呈するものがあります。

 

ウイルス性胃腸炎の場合、原因ウイルスをやっつける薬はありませんので、嘔吐や下痢によってウイルスを排出して、自然治癒力にて回復するという経過をたどります。

 

ほとんどの場合、症状は嘔吐から始まり、嘔吐がおさまってくると下痢が始まるという感じです。

嘔吐の症状は長く続くことはなく、だいたい半日から24時間程度でおさまります。

下痢は何日も続くことがあります。

 

嘔吐の症状がひどいとき、無理に食べさせたり、飲ませたりすると、刺激になって余計に吐いてしまうので、しばらくは何も口に入れないようにしましょう。

とはいっても、ずっと水分が取れないと、脱水になってしまいます。

嘔吐が一番ひどい時は水分をあげるのも控えて、様子を見ましょう。

そして、嘔吐の勢いが収まってしばらくたったところで（30分から１時間）、水分を少しずつ与えてみましょう。

このときに、たくさん与えるとまた嘔吐の波がぶり返してくるので、少しずつあげるのがポイントです。

スプーン１杯をまずあげてみて、５分ぐらい様子をみて大丈夫そうならもう１杯・・・と言った感じで、少しずつ様子を見てあげてください。

 

水分と言いましたが、経口補水液をあげるのがもっとも望ましいです。

経口補水液とは、嘔吐で失われる電解質や糖分を補うものです。

日本ですとアクアライトやOS-1があると思いますが、自宅で簡単に作ることもできます。

（常温の水500ml+砂糖20g+塩1~2g）

 

こどもにマグやコップごと渡してしまうと、こどもは嘔吐のために喉が渇いていますから、ガブガブ飲んでしまい、また嘔吐につながるので、大人の方が少しずつ与えるようにしてください。

 

少しずつあげていても、まだ嘔吐することもあると思いますが、全体的に勢いが落ち着いてきて、少しずつ水分がとれるようでしたら、大きな心配はいりません。

嘔吐の症状は半日間、長くても丸一日、と思って乗り越えましょう。

 

一方で、嘔吐の勢いがとても激しく、とても水分を与えるような隙はない、スプーン一杯でも含ませるとすぐにそれ以上に吐いてしまう、というような場合は、もうお家で見れない状態ですので病院を受診しましょう。

特に３歳未満の乳幼児の場合は、体の蓄え、体力もまだまだ小さいですから、あっという間に重症の脱水症になってしまうことがあります。３歳未満のお子さんで、嘔吐の勢いが上述のようにひどい場合は、夜間や休日でもただちに救急受診するようにしましょう。

 

 

以上、こどもの感染性胃腸炎の時は、親としてもお世話が本当に大変になると思います。水分の管理だけでなく、吐しゃ物で汚れた服やシーツなどの洗濯・・・

そして、ウイルス性胃腸炎は非常に感染力が強いですので、しっかりとした感染対策が必要です。通常アルコール消毒は無効ですので、石鹸でしっかり手洗いすること、吐しゃ物が付いた場所には次亜塩素酸（漂白剤）を薄めたものをスプレーしてふき取るようにしてください。

 

とても大変ですが、上述の通り、嘔吐の症状は通常1日以上は続きませんので、そのときをなんとか乗り越えましょう。

 

以上参考なりましたら幸いです。

以前にも感染性胃腸炎に関する記事を書いていますので、そちらも参考にしていただければ幸いです。

急性胃腸炎について／まゆこvol.22