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執筆者の写真La terre la mère

理想のママ像? /まゆこvol.3

今日は理想のママ像について書きたいと思います。

私は、結婚して出産する前から小児科医として働いていました。

特に母になるまでの私は、毎日毎日一生懸命、病気で病院に受診するお子さん、入院するお子さんの治療するということにすべてを費やすような生活でした。

小児科の特徴として、患者さんは、受診するときも、入院するときもほとんどの場合、ママ(もしくはパパ)と一緒です。私はそんな親子の姿を見て、あこがれを抱いていたし、いつかは自分もこうなりたいと思っていました。一方で小児科医という仕事が大好きなので、そちらについても手を休めるつもりは全くありませんでした。

でも、そのときに描いていた「理想のママ像」と、今思う「理想のママ像?」は全然違います。

そのギャップに気づいたのは、出産後すぐでした!

一人目出産時、出産後すぐに、元通りの仕事の生活に戻れると思っていました。

ですので、出産前ぎりぎりまで働きましたし、予定日一週間前くらいになって出勤しなくなってからも、家でできる仕事を毎日していました。そして、出産後にいろいろな予定を入れていました。予定日の一か月半後には大きな講演会での発表が決まっていましたし、それまでにも学会発表の準備などの予定もびっしり詰めていました。

きっと私には小児科医としての慢心があったんでしょうね。私は産んだあとも一人で大丈夫、育児をしながら100%仕事もこなしてみせると本気で思っていました。

しかし、現実はこれとはほど遠かった。

実際に今、ママさんをなさってる方だったらみんなわかると思います。

育児ってそんなにうまくいかないんですよね。

新生児期2-3時間置きの授乳だから、その間は仕事ができる、なんて思ってたけど、現実はそんなに甘くない。

うちの娘は、ずーっとおっぱいをくわえているし、ようやく寝たと思って置こうとするとすぐに泣きだす…。あやしているあいだにまた次の授乳の時間がやってくる。24時間これの繰り返しですよね。

まったく仕事をする時間なんてない。それどころか、自分の体を休めることもできない。

でも、予定を詰め込んでしまっていたので、ほんとに苦しみました。

体力的な忙しさだけじゃなく、ホルモンバランスの崩れによる精神的な負担も大きくかかってくる時期です。

その時私はようやく気付きました。小児科医として、ぜんぜん母であることの大変さがわかっていなかったなと。

そしてまた、娘が発熱したり咳込んだり、嘔吐したりするたびに、医師として、医学的なことはわかっているはずなのに、母としての不安に大きく飲み込まれる。

世の中のママさんたちが、どんな気持ちで病院を受診するのか、ようやくわかった瞬間でした。お恥ずかしながら。

子供は成長していきますが、それに伴って、しんどさの種類も変わっていきます。

今、在宅ワークをしながら育児、家事をなさっている方も多いのではないでしょうか。

子供がそれなりに大きくても、育児をしながらの在宅ワークなんて、本当にできたものじゃないですよね。

そういうことに思い至り、私は「理想のママ像」を持つのをやめました。

強いて言うなら、理想を持たない、肩ひじ張らない、多くのことを気にしない、そんな姿が「理想」かな、と思います。

そうは言っても、そんな「理想」ですら、なかなか難しい。

毎日子供のことで悩んだり、ときに声をあらげてしまうこともしょっちゅうです。

これはみんな一緒だと思います。

みんなが、みんな持っている辛さを共有できるといいですよね。母の日に、自分が母である、それだけで誇れることなんだと皆さんが再認識できたらいいなと思います。




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