今回は、やや専門的な話になりますが、「思春期早発症」についてお話しますね。
思春期早発症というのは、その名の通り、思春期が早く来る状態のことを言います。
具体的には、以下のような基準があります。
思春期早発症の基準
男児の場合
9歳未満で精巣、陰茎などの明らかな発育が起こる
10歳未満で陰毛が発生する
11歳未満で腋毛、ひげの発生、声変わりがおこる
女児の場合
7歳6か月未満で乳房発育が起こる
8歳未満で陰毛の発生、外陰部の成熟、あるいは腋毛の発生が起こる。
10歳6か月未満で初経がある
これらの兆候が見られた場合、小児内分泌の専門医療機関を受診し、血液検査、レントゲン検査、場合によってMRI検査等を行い、総合的に診断されます。
※ただし、これは日本国内の基準であり、人種、民族、環境によって平均的な思春期の発来時期は異なります。
大きく分けて、特発性思春期早発症と二次性思春期早発症とがあります。
特発性思春期早発症とは、みんなに起こる生理的な思春期が、早期に来てしまうものです。
二次性思春期早発症は、ほかに原疾患(腫瘍や、生まれ持った疾患など)があり、それによって性ホルモンの異常分泌が起こり、思春期が早くくるものです。
思春期早発症の発生頻度は、女児が圧倒的に多く、そのほとんどは特発性です。
男児の場合は、頻度が低いですが、二次性の頻度も女児より高くなりますので、上記のような兆候が見られた場合は必ず精査が必要になります。
特発性思春期早発症に対してすること
では、生理的な思春期が早期に来てしまうとなぜよくないのか?というと、2つの問題点があります。
①まだ身長が小さいうちに思春期が来てしまうと、最終的な身長が小さいまま成長が終わってしまう。
②幼い年齢で成長がすすみ、本人や周囲の心理的負担が増えてしまう。
特発性思春期早発症の場合は、その重症度、診断時の年齢や身長、本人やご家族の希望などに応じて治療をするかどうかを専門医と相談します。
治療する場合は、リュープリンという薬を月に1回のペースで注射して、思春期の成長をゆっくりにします。
(ただし、診断時の状態によっては効果が見込めないこともあります)
二次性思春期早発症の場合は、原疾患に対する治療を主体に行い、必要があれば、特発性と同様の治療を行うこともあります。
長くなりましたが、意外と身近な思春期早発症についてお話ししました。
思春期が早め、遅め、というのは多感な年ごろのお子さんにとって、とてもセンシティブになりやすいところです。
もちろん、個性の範囲内ということもあります。
一方で、上記のような年齢による成長段階の指標と照らし合わせていただき、気になることがあれば、専門医に相談してみてくださいね。
もちろん、最初から専門医へアクセスすることが難しい場合は、かかりつけ医の先生にご相談なさるのも良いと思います。
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