Point前回に引き続いて、私が小児科医として、日本では知らず、こちらに来てから知った疾患についてお話ししたいと思います。
「ダニ媒介脳炎(Tick-borne encephalitis :TBE) 」です。
これは、自然の中にいるマダニが、人を刺して、ダニの体内にいたウイルスがヒトに感染することによって起こる感染症です。
確率は非常に低いですが、脳炎を引き起こすことがあり、脳炎になった場合に致死率がかなり高い、という恐ろしいものです。
少し前までは山間部にしか生息していたなかった、このウイルスを持つダニですが、最近では都市部の方でも報告されており、スイスでは現在ほとんどの地域で、このダニ媒介脳炎を予防するためのワクチンを接種することが推奨されています。
年齢は6歳から大人まで、推奨されています。(薬剤の添付文書としましては3歳から接種可能です)
全てのマダニがこのウイルスを持っているわけではない
ウイルスを持ったマダニに刺されても、かならず感染するわけではない。(50%未満)
しかしもし感染して脳炎になると致死率がとても高い
この図のようにヨーロッパの多くの国で、このTBEの報告がなされています。
もしダニにかまれているのを見つけた場合は、無理につまんで取ろうとせず(ダニがつぶれるため)、できれば専用のダニ取りツールを使ってすくい上げるようにダニを皮膚からはがしてください。
ニ取りツールがない場合は、フォークのようなものでも取れると思います。ダニ取りツールがない場合は、フォークのようなものでも取れると思います。
防接種を受けたときに頂いたダニ取りツール。左下のフォークのようなところで、ダニの体をすくい上げるようにして皮膚から引き抜きます。
2年ほど前に個人ブログの方で、このTBEに対するワクチンを受けた話を書きましたので、そちらも参考にされてください。
スイスでは大人の場合は、薬局で接種可能ですので、医師の診察の必要はありません。
上記地図の、多い地域にお住まいの方は、このワクチンの取り扱いのある薬局を探して接種することをお勧めいたします。
お子さんはかかりつけ小児科に相談して接種するようにしてくださいね。
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